ただの便秘だと思っていたら、じつはほかの病気が隠れていた、ということがあります。病気が原因の便秘かどうかは、自分では判断できません。早めの受診が必要な症状や、便秘がサインになる病気について見てみましょう。
●大腸がん・直腸がん
便が通過する部分にがんができると、スムーズに便が通れなくなり、便秘になります。生活習慣や食生活を改善し、便秘薬を使っても頑固な便秘が解消しないときは、大腸がんや直腸がんの可能性を疑って早めに受診しましょう。
大腸・直腸がんのサインと考えられる症状
・血便…血が混ざった便。30歳以下の若い人に多い潰瘍性大腸炎なども考えられます。
・下痢…腫瘍によって腸が狭くなると、腸内でつまらないように便が水様になります。
・腹痛…便秘とともに腹痛がある場合は、がんの可能性も疑ってください。
・タール状の便…タールのように粘着性があり、真っ黒い便。
・頑固な便秘…腸内の腫瘍などが原因で、便が腸を通過するのが困難な状態で起こります。
●子宮筋腫
子宮に良質の腫瘍ができた状態で、20〜30代の若い世代に増えている病気です。がん化することはありませんが、子宮の外側にできた子宮筋腫が直腸と接触する位置にあり、大きく成長すると、直腸を圧迫。直腸は正常に働いていても、便がうまく排出できなくなります。
●卵巣嚢腫
卵巣内や周辺に良性の腫瘍ができる病気です。がん化することはありませんが、腫瘍が大きくなると直腸が圧迫されて腸管が狭くなるため、便が通りにくくなり便秘になります。
食事や生活習慣に気をつけても便秘がよくならないときは、一度婦人科を受診し、子宮筋腫や卵巣嚢腫がないか検査をしてみましょう。
便秘が引き起こすトラブルに「痔」があります。
痔になるといきむのが痛かったり怖かったりして、便を出すのをためらうようになり、便秘がさらに悪化するという悪循環にも陥ります。痔の種類(内痔核・裂肛・痔瘻)によって治療が異なります。肛門のトラブルは放っておかずに専門医になるべく早めに相談しましょう。
痔について、詳しくは「治療のご案内」をご覧ください。
便秘は痔だけでなく、寿命が短くなる、心血管イベントのリスク、サルコペニア、フレイルへと繋がると言われています。