便秘予防および改善のために、最初に考えなければいけないのは食事の内容です。便秘改善の代表的な栄養素を4つ紹介します。
●食物繊維
野菜に多く含まれており、便のかさを増やしたり、軟らかくする効果があります。排便をうながすには欠かせない栄養素です。
食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があります。
・不溶性食物繊維
腸の中で水分を吸収してふくらむことで腸壁を刺激し、腸のぜん動運動を高めます。
*玄米、大豆、ごぼう、きのこ類、キャベツ、レタス、みかん、りんご、さつまいもなど
・水溶性食物繊維
腸内で水分を含むとヌルヌルしたゲル状になり、有害成分を吸着して排出します。腸内の善玉菌を増やす効果もあり、高い整腸作用があります。
*海藻類、こんにゃく、オクラ、やまいも、モロヘイヤ、納豆、アボカドなど
食物繊維はコレステロールの吸収をうながしたり、糖尿病、高血圧、肥満を予防する効果もあり、生活習慣病予防のためにもぜひ摂取したい栄養素です。
●ビフィズス菌・乳酸菌
大腸に生息しているのはビフィズス菌です。それはビフィズス菌は酸素がある場所では生きられないからです。それに反して乳酸菌は酸素がある小腸でも生きていくことができるので、乳酸菌の99%が小腸に存在しています。
ビフィズス菌は食物繊維やオリゴ糖をエサにして短鎖脂肪酸(乳酸や酢酸)を産生することによって腸内を酸性に保ちます。その結果、病原菌の侵入阻害、免疫機能の改善、腸の蠕動運動促進などの効能を持っています。
乳酸菌はみずからが作りだした乳酸で腸内を酸性化させ、悪玉菌が住みにくくする整腸効果があります。それに加えて小腸にある免疫細胞を刺激して体の免疫力を高めているのではないかといわれています。
●オリゴ糖
腸内環境をよい状態に保つためには、常に一定量の善玉菌が腸内で元気に活動していることが必要です。ビフィズス菌をはじめとする善玉菌のえさとなり、腸内で善玉菌が増える手助けをするのがオリゴ糖です。
また、余分なコレステロールを排出したり、血糖値を正常にする作用、動脈硬化を予防する働きもあります。
*たまねぎ、バナナ、豆腐、ヨーグルトなど
●ビタミンE
腸の動きをコントロールしている自律神経を整える作用と、末梢血管を広げて血行を促進する効果があります。血行促進効果によって、冷え性、肩こり、腰痛などの改善や、美肌効果も期待できます。さらに女性ホルモンのバランスを整えて生理痛、生理不順、更年期障害を改善する効果もあるので、女性はとくに積極的にとりましょう。
*かぼちゃ、ほうれん草、アーモンド、ごま、レタス、ほうれん草、とうもろこしなど
●脂質
脂質は、たんぱく質、炭水化物とともに三大栄養素に数えられる重要な栄養素です。油をとることで便の滑りもよくなり、脂肪酸は腸を刺激してぜん動運動を活発にさせます。
とくに植物油は、便秘改善に欠かせない自律神経の調整と血行促進効果のあるビタミンEがたっぷり含まれています。ときどき炒めものや揚げ物をつくったり、サラダや温野菜などにまわしかけたりして、適量をとるようにしましょう。
*植物油(菜種油・紅花油・ごま油・オリーブオイル・ひまわり油・コーン油・大豆油・米油・綿実油・やし油・グレープシードオイル・パーム油)
便秘解消に役立つ栄養素はほかにもいろいろあります。なるべくいろいろな栄養素をとったほうが、便秘改善と健康維持に有効です。
●カリウム
ミネラルの一種で腸のぜん動運動の活性化に欠かせません。水に溶けやすく熱に弱いため、生で食べるのがおすすめです。
*果物、野菜、海藻
●マグネシウム
ミネラルの一種。腸内で水分を集めて便を柔らかくする作用があります。
*こんぶ、大豆
●アリシン
硫化アリルの一種。腸を刺激してぜん動運動を高めたり、腸内でビフィズス菌を増やしたりします。
*たまねぎ、にんにく
●クエン酸、リンゴ酸
腸を刺激し、ぜん動運動を活発に。腸内でビフィズス菌を増やす働きもあります。
*りんご(リンゴ酸)、ウメやレモン(クエン酸)
発酵食品はカビ、酵母、細菌などの発酵菌の働きによってつくられたもの。発酵によってつくりだされた酵素などの成分に、善玉菌を増やして悪玉菌を排除し、腸内環境を整える作用があります。
ほかにも、食物繊維が豊富なビール酵母や、KW乳酸菌・LG乳酸菌・ラブレ菌といった、病気の予防効果が高いとされている特定の乳酸菌を使って発酵させたヨーグルトや乳酸菌飲料もあります。発酵食品の摂取を習慣にし、善玉菌が優勢な腸内環境を保ちましょう。